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大きなカウンターのある店舗

京町家を飲食店に!歴史的景観を活かしつつ現代の営業基準をクリアする改修のポイント

「京都で自分のお店を持つなら、絶対に趣のある京町家で…」

そう考える飲食店オーナー様は少なくありません。

京町家の持つ独特の空間は、歴史と文化を感じさせる格別の雰囲気があり、お客様に「京都に来た」という特別な体験を提供できる最大の魅力です。外国人観光客の方々はもちろん、地元の皆様にとっても、日常を忘れる上質な時間を提供してくれます。

しかし、その一方で、京町家を飲食店として改修・開業するには、一般的な店舗工事とは異なる、いくつかの大きな壁が存在することも事実です。

「改修コストが高そう…」 「古い建物だから構造が不安…」 「何より景観条例や消防法の規制が難しそう…」

これらの不安から、憧れを断念してしまう方もいらっしゃいます。

ご安心ください。私たち京都で長年店舗の改装・改修を手掛けてきた工務店は、京町家の魅力を最大限に活かしつつ、飲食店の「営業基準」と「快適性」を両立させるための具体的なノウハウを持っています。

本記事では、京町家での飲食店開業を目指す方に向けて、改修を成功させるための専門的なポイントを徹底解説します。


1.京町家改修における「三つの大きな壁」

京町家ならではの改修において、特に乗り越えるべき専門的な課題がこちらです。

(1) 景観条例・歴史的意匠の維持

京都市は、美しい歴史的景観を守るために、全国でも特に厳しい景観条例を設けています。

  • 規制の具体例: 外観の建具(格子など)や、屋根の形状、色や素材、サイン(看板)の大きさやデザインなどに細かな規定があります。
  • 工務店の役割: 伝統的な美しさを守りながら改修を進めるには、行政(京都市)との事前の折衝が不可欠です。私たちは、京町家の建築様式を熟知した上で、規定をクリアする設計を行い、場合によっては京町家保全・活用支援事業などの補助金制度も視野に入れ、コストを抑えるご提案をいたします。

(2) 消防法(特に飲食店特有の厳格な規制)

木造建築が多い京町家は、火を扱う飲食店として営業する場合、消防法において非常に厳格な安全基準をクリアしなければなりません。

  • 特に重要な点:
    • 耐火措置: 厨房周りの壁や天井は、延焼を防ぐために不燃材での内装制限(不燃化)が求められます。
    • 避難経路: 2階建て以上の店舗では、避難経路の明確な確保が必須です。
    • 消防設備: 自動火災報知設備や消火器、場合によってはスプリンクラーなどの設置義務が生じます。
  • 工務店の役割: 伝統的な内装の雰囲気を極力損なわないよう、目立たない場所に防火区画を設けたり、最新の消防設備を組み込んだりする高い設計力と技術力が問われます。

(3) 構造上の課題と快適性(耐震・断熱)

古い町家は、現代の建物と比べ、耐震性や断熱性に課題を抱えているケースがほとんどです。

  • 構造的な不安: 基礎や構造躯体の劣化、地盤沈下などがないか、専門家による詳細な診断が必要です。
  • 快適性の問題: 冬は底冷えが厳しく、夏は暑くなりがちです。
  • 工務店の役割:
    • 伝統的な梁や柱を活かす「現し(あらわし)」の美しさを保ちつつ、壁や床下に筋交いや補強材を加えて耐震性を向上させます。
    • 京町家の意匠を活かしたまま、窓を二重サッシにしたり、壁内部に高性能な断熱材を吹き付けたりする改修を行い、一年中快適に過ごせる空間へと改善します。

2.魅力を最大限に引き出す改修設計のコツ

課題をクリアした上で、京町家ならではのポテンシャルを最大限に引き出し、集客力のある飲食店にするための設計アイデアをご紹介します。

(1) 「通り庭」と「坪庭」の活かし方

京町家特有の「うなぎの寝床」と呼ばれる奥に長い空間は、設計次第で最高の演出空間になります。

  • 通り庭を導入に: 玄関から厨房、客席へと続く「通り庭」を活かし、お客様を店内奥へと自然に誘導するワクワクする動線を作ります。
  • 坪庭をアクセントに: 空間の途中に設けられた坪庭は、採光・換気の役割だけでなく、客席から眺める「借景」として最高の演出になります。照明で夜間のライトアップを施せば、四季を感じさせる幻想的な空間を提供できます。

(2) 伝統的な素材と現代の機能性の融合

京町家の魅力は、何と言っても時が育んだ素材の美しさです。

  • 素材の活用: 煤竹や古い梁、土壁、格天井といった伝統的な素材は極力残し、空間に深みを与えます。
  • 機能性の統合: 一方で、厨房やトイレなどの水回りは、汚れに強く、手入れがしやすい現代的な素材と設備を導入します。伝統と機能性のコントラストが、洗練された空間を生み出します。特に、厨房のダクトやグリストラップといった飲食店特有の設備は、景観を損なわないよう目立たない位置に収める工夫が必要です。

(3) 照明計画:「陰影礼賛」と機能性の両立

均一に明るい照明は、京町家には似合いません。空間に陰影を与えることで、料理や器、そしてお客様が美しく映える演出が可能です。

  • 雰囲気づくり: 伝統的な間接照明や、テーブル上へのスポットライトを効果的に使い、料理に深みと立体感を持たせます。
  • 機能性: 厨房やカウンター内部など、作業に必要な場所は十分な照度を確保し、**「魅せる照明」「機能の照明」**を使い分けることが重要です。

3.成功への第一歩:京町家改修に強い工務店の選び方

憧れの京町家での飲食店開業を成功させるには、パートナー選びが最も重要です。

京町家での改修経験が豊富な工務店は、単に工事をするだけでなく、以下の3つの専門知識を持っています。

  1. 景観条例や消防法といった「京都特有の法規制」への深い知見。
  2. 古い建物の特性を理解し、伝統工法に対応できる地元の職人とのネットワーク
  3. 飲食店の命である「厨房設備」「動線」「快適性」を両立させるプロの設計提案力

私たちT’s工房は、長年京都の地で店舗改修に携わり、数多くの飲食店オーナー様の夢をサポートしてまいりました。京町家の持つ歴史的価値を深く理解し、法令遵守と高い機能性の両面からしっかりと開業をサポートいたします。

京町家での開業をご検討でしたら、まずはお気軽に物件の特性やご予算など、ご相談ください。

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